吊り磁石をかざしてNとSの磁極がそれぞれ左右に振れるとき、それは鉄心の内部に磁気の流れがあることを示しています。
- 永久運動ホルダーをN極とS極の両方を手で持つ。
- ゆっくりと持ち上げていき、S極の吊り磁石に近づける。すると、吊ったS極は南に振れる。
- 今度は永久運動ホルダーをN極の吊り磁石に近づける。
- ゆっくりと持ち上げていくと、N極は北に振れる。
この実験が示すのは、永久運動ホルダーの中には銅線の実験に見られたような磁気の流れが同じように流れているということです。その磁気はカーバッテリーから出てきて永久運動ホルダーに補充され、右ねじの螺旋軌道を描いて流れます。
- アルニコ磁石を用意する。
- 磁石を毎分2000回転以上できるような機構を用意する。
- 永久運動ホルダーに電球をつなぐ。
- ホルダーの股の間に、回転する磁石が入るように固定する。
- そして、磁石を回転させ、電球の光る具合を観察する。
- ホルダーから鉄のバーを引きはがし、その前後での電球の光の具合を見比べる。
鉄のバーを取り去った後の方がより明るく光るでしょう。
これは、永久運動ホルダーの磁気回路が閉じられているときにはいくつかの磁気が鉄心の輪の中を周回して外には出てこず、一方で、磁気回路が開放されたときはそれらの磁気はコイルの中に入ってきては出ていくということを示しています。磁気の出入りがより多いので、鉄のバーを離した方が電球は明るく光ります。
- 水平に回転するアルニコ磁石の上に、砂鉄で満たされた紙の箱をかざす。回転する磁石がどのように砂鉄の構造物を作るのかを見る。
- 次は磁石を鉛直方向に回転させる。
- 砂鉄は磁石の動きに逆らって動き、凹凸を作り出しているのがわかる。
- より細かい砂鉄によって観察すれば、より細かい凹凸を作り出しているのがわかる。
- 一方に回転させて観察したのち、次は反対向きに回転させて観察する。
これで、磁気がどのようにして物体を構築しているのかの大まかなイメージがつかめるでしょう。
これまで3つの異なる方法で磁気の流れを作り出しました。しかし、それらはひとつの同じ原則の下に現れています。
磁気の流れは「集中」「分裂」「移動」のような動きから構成されています。NとSのそれぞれの磁気の素が、ある場所から他の場所へと移り変わっていくのです。
さて次は、私の最高の装置がどのようにして磁気の流れを作り出すのか図解します。
ひとつのコイルとひとつのU字型磁石を用意します。この装置は、磁石の磁気を強めるために銅線を巻くことはしません。
- 先の実験で使った7.5センチのコイルがすっぽり入るU字型磁石があればそれを使う。なければU字型磁石にあわせてコイルを作る。
- コイルと同じ直径でU字型磁石の間にすっぽり入る鉄心を用意する。
- コイルは銅線を1500回巻く。
- コイルを電球に接続する。
- コイルがU字型磁石の間をよく通るように磁極を下にし、N極が北にS極が北になるようにして固定する。
- コイルを西から東へ、コイルの間を横切らせる。
- 素早く動かす。
すると、電球が光る。
- 今度はコイルを磁極の間へ素早く入れた後でいったん止め、磁極の間に収まっている状態から素早く抜き取る。このとき、電球は二度明かりがつく。
一度目の通過実験においてもまた、電球は二度の点灯をしているのですが速すぎて肉眼では気づくことはできないでしょう。コイルを磁石の中央まで押し込むとき、磁気はコイルの中を一方向に流れ、中央から外へ引き出すときには磁気の流れは反転し、はじめとは逆の方向に流れていきます。
電球が二度光るというのはそういう意味です。
以下のようにしてNとSのそれぞれの磁気は、コイルを西から東へと磁界の中を移動させている間だけ流れます。
- コイルから鉄心を抜き取る。
- 鉄心に一層だけ銅線を巻き、線の終わりがコイルの北端では東を指し、南端では西を指すようにする。
コイルをU字型磁石の磁極間へ動かすとき、N極の磁気はコイルの東を指している終端から、S極の磁気は西を指している終端から出てきます。また、このまま磁極間から外に向かってコイルを動かすときは、磁気の流れは先程とは逆の向きに流れ、N極の磁気はコイルの西を指している終端から、S極の磁気は東を指している終端から出てきます。
あるいは、U字型磁石の磁極をN極を南に、S極を北にして行う場合も磁気の流れの極性は反転します。
電流が反転するときは、電磁石の極性も反転します。
どんな時であれコイルが磁場に近づくときは、その時にコイル内部に作られる電流がコイルの終端に接近する磁場と同程度の磁極を作り出します。コイルが磁場を退けている間、磁場に拮抗するようにコイル内部に磁極を作り出し、そのコイル自身の作り出した磁場によって電流が流れます。
コイルを持っているうちに、もう少し磁気についてお教えしましょう。
- コイルに電流を流し、コイルのS極磁気の出てくる線の終端を西に向ける。
- N極磁気の出てくる終端を東に向ける。
- ここで、コイルの北側の終端はS極で、南側の終端はN極となる。
- 今度は、N極磁気の出てくる線の終端を西に向ける。
- S極磁気の出てくる線の終端を東へ。すると電磁石のN極は北を向き、S極は南を向く。
2.5cmの磁石を一本のワイヤーで作りました。
- 同じ太さのワイヤーで同じ回数巻き、
- 今までの鉄心より一回り太い鉄心をコイルにはめる。
先程より大きくて強い磁石を作ることができます。
しかし、より強い磁石を作る方法は他にもあります。
単一の銅線で小さな永久磁石を作ったとき、かなり多くの磁気を無駄遣いしています。鉄心に吸収される磁気は銅線から出てくる磁気のほんの一部でしかありません。コイルの中の鉄心では、放出される磁気の半分も捕まえることができません。より多くの磁気を捕まえるには、
このようにすればスチールのチューブはコイルの鉄心と同じようにして磁化し、永久磁石になります。ただし、チューブの極性はコアとは逆になります。これで、鉄心と同じだけの磁気をチューブに捕まえることができます。
まだ改善の余地があります。
- チューブの穴にはまるようにしてコイルのコアの片側にふたをする。
- もう一方のコイルの終端には2つの穴をあけたふたを用意し、そこからコイルの導線を外へ通してふたをする。
- ふたを固定する。
これで、物を持ち上げるのに最も効率の良い電磁石ができました。
バッテリーから出てきて無駄にされる磁気は最低限に減らすことができました。
- 鉄心からコイルを取り外す。
- コイルに電流を流す。
- コイルのN磁極に鉄の棒を押し当てる。
- しばらくそのまま待って
- 取り去る。
これで鉄の棒は永久磁石になりました。
鉄の棒のコイルに押し当てた終端はS極に、もう一方はN極に磁化しています。このとき、この永久磁石はほかのあらゆる鉄の棒を磁化し、永久磁石にしてしまうことができますが、できあがった全ての永久磁石は磁化の原因となる永久磁石よりも強い磁気を持つことはありません。
上記のコイルが永久磁石を作ったように、永久磁石もまた別の永久磁石を作り出すことができるのです。
- できあがった永久磁石をコイルの穴におさめる。
- コイルのN磁極には永久磁石のS極がくるように、コイルのS磁極にはN極がくるようにして入れる。
- コイルに電流を流し、しばらく待って電流を止める。
- 永久磁石をコイルから取り出す。
これで永久磁石は先ほどよりもより強く磁化しました、ただし磁極は逆になっています。
これより、より強い磁石はより弱い磁石の磁気を書き換えることができるということがわかります。
コイルをU字型磁石の間をくぐらせるとき、その過程でコイルにつながれた電球は2度点灯しますが、このときにどちらの終端から電流が流れ出てくるのかを先の実験で示しました。
さて、同じ方法でより分かりやすく現象をお見せしましょう。
- 電球をコイルから取り去る。
- コイルに鉄心を挿入し、
- U字型磁石を西(手前)に配置し、磁石から東に6フィート(1.8m)離れたところを通して導線でループを作り、コイルに接続する(コイルとU字型磁石はセット)。
- ループの終端を30cm離しておく。
- ループの南端を引き伸ばしてまっすぐにし、動かないよう固定する。
- 小さな吊り磁石を用意し、N極を下にしたものとS極を下にしたものそれぞれ用意する。
- 固定した導線の上にS極を下にした吊り磁石をかざす。
コイルをU字型磁石の間に通し、吊り磁石の動きを観察する。初めは南に振れ、そして北に振れる。
- 今度はN極を下にした吊り磁石をかざす。コイルをU字型磁石の間に通すと、初めに北に振れ、その後南に振れる。
- 両方の吊り磁石をかざし、コイルを動かすとそれぞれが初めはそれぞれの方向に振れ、次に逆方向に振れるのが同時に観察できる。
(コイルをU字型磁石の間に通しても吊り磁石が動かないのであれば、それはU字型磁石が充分強くないことが考えられます。U字型磁石は少なくとも20ポンド=9.0㎏の重さを持ち上げる磁力が必要です。)
U字型磁石が無い場合は二つの磁石のペアかあるいは電磁石を使うこともできますし、コイルを電磁石と結合してしまっても構いません。また電磁石の場合は、コイルを押し込んだりする必要はなく、その代わりに電磁石の電源を切り替えるときに吊り磁石の挙動を観察することができます。使う前には電磁石の極性をきちんと把握しておき、N極を北に、S極を南に向けて、コイルを上の実験と同じ向きにして実験するようにしてください。
NとSの磁気の素がコイルと鉄心の中に充満し、時間をおいてそれらがすべて外へ出てまた磁気で満たされる、これを繰り返すことですべての電流は作り出されます。
Magnetic Current マグネティックカレント 日本語訳#1
Magnetic Current マグネティックカレント 日本語訳#2
Magnetic Current マグネティックカレント 日本語訳#3
Magnetic Current マグネティックカレント 日本語訳#4